わざわざ行くコンビニ

わざわざ行くコンビニ

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しばらくブログもご無沙汰してしまいました。小松みゆきです。
コンビニがあるのは当たり前になってきましたが、競争も激しく、あれっあのコンビニなくなっちゃった。なんてことも・・
そんななか、わざわざ訪ねたくなるコンビニのお話です。

「日に3度もコーヒーとドーナツを買って、店の端でじっと店内をみている人がいてね。」店長は私に話し始めた。静岡の流通センター内にあるコンビニ。どこにでもある普通のコンビニだけど、実は普通ではない。

ある日の事、日に3度来店する顧客が、店長に話かけた。「今日は、あの子達どうしたの?」「あの子?ああ、長時間勤務はむずかしいので、通常は15時頃であがらせていただくんですよ」そう、このコンビニは健常者と障がい者が一緒に働いている。
このお客さんはこのセンター内に事務所を置く経営者らしかった。「そうか、俺はね、障がい者に特段、興味も思いもなかった。このコンビニが障害者と一緒にはじめると聞いてなんの思いもいだかなかった。でもここに買い物にきはじめて、彼らをみていて、昔、昔、会社を設立した当時を思い出してね。経営もなにも、まったくわからなかったけど、ただひたすらに無我夢中でやってきた、彼らがそのときの思いを思い出させてくれた。障害をもっていても、なんの問題もない、いっしょだよな。うちでも雇用できるんじゃないかと思うけど、すぐ雇い入れる予定はないし、でも彼らのためにもこういう働く場は絶対必要だ。自分にできることは何だろうと考えたとき、せめてできることはコンビニがつぶれないように、買い物をすることだけだった。だからおれは日に3度も通うんだ。絶対にがんばって、この店つぶすなよ。」・って

またある女の子がね、お花をもってたずねてきたんだ。近所の企業につとめていたんだけど、結婚退職するので挨拶にきたって。うちの子たちにだよ。「私、ずっと職場になじめなくて、毎日やめたいって思っていたんですよ。でもこのコンビニで買い物するようになって、いつも元気を貰ってた。まだ、もう少しがんばってみようって、私が今日まで仕事できたのは、このコンビニのおかげなんです。だから今日はお礼のご挨拶にきました。」って。

対人恐怖症になり、まったく人とかかわれなくなってしまった子がいてね。電話くれたんだけど、今すぐにでも消えてしまいそうな勢いでさ。彼になにがしてあげられるだろうって考えて、コンビニではたらかない?っておもいきって話してみたんだ。「それむりっす」そうだよね、対人恐怖症なんだから。でもね、夜中なら人も来ないし、裏方の仕事がたくさんあるんだよ。1ヶ月もすぎてから、「いってみようかな?」って連絡をくれてね。夜中の2時半にきて、あさまで、商品陳列やらなにやら、がんばってくれて、・・・お客さんとすこしずつ話ができるようになって、いまやレジにたってるんだよ。

店長の目がうるんでいた。元気な声の挨拶、一生懸命に働く姿。彼らは本当にたのしんで、一生懸命働いてくれて、その姿に勇気をもらう人がいる。人は、だれでもかならずだれかのために存在してるんだよね。・・・・はじめてこのコンビニを訪ねたとき、なんとも不思議な感じがした。お店全部がお客様を歓迎している。なんだかわくわくする。長居したくなる。

コンビニ・・・今や日本全国津々浦々まであるけれど、通り道でもないのに、わざわざ立ち寄る、わざわざ行きたくなるコンビニ!そんなコンビニがある。のぞいてみて~。きっと元気をもらってまた明日がんばれるから・・。
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